[天翔艦隊へ]


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豊島の戦

作詞:池辺 義象
作曲:納所 弁次郎

著作権:無信託(詞)、消滅(曲)

一、
鶏(とり)の林に風立ちて
往き来の雲の脚はやし
「吉野」「浪速」「秋津洲」
探る牙山(がざん)の道すがら
七月二十有五日
暁深く立つ霧の
仄(ほの)かに見ゆる敵艦は
名に負う「済遠(さいえん)」「広乙(こうおつ)」号

二、
彼より撃ち出す弾丸に
怒るは人と神のみか
波さえ荒ぶる豊島(ほうとう)海
我が軍いかでか躇(ためら)わん
互いに戦う程もなく
逃ぐるやいずこ彼の二艦
追えども追えども散り散りに
行方も知れずなりにけり

三、
たちまち見ゆる二艘(そう)の船
牙山をさして急ぐなり
勝ちに乗りたる我が艦(ふね)の
進み進みて取り巻けば
白旗高く差し立てて
まずこそ降れ「操江(そうこう)」号
撃ち出す我が砲(つつ)一発に
「高陞(こうしょう)」号は沈めたり

四、
折りしも波風おさまりて
清き喇叭の声おこり
東の空を仰ぎつつ
世界を動かす勝鬨(かちどき)は
天皇陛下万万歳
日本海軍万万歳
この勇ましき勝鬨ぞ
征清軍のはじめなる

明治二十七年「大捷軍歌」初編

 ……歌詞中の「鶏の林」とは、かつて朝鮮のことを「鶏林八道」と称したため。歌詞は当初次のようなものであったが、後に訂正された。

 第二節一行目『打ち出す無礼の』、六行目『逃ぐるか卑怯の』、八行目『のがれ行きしぞあわれなる』、第三節五行目『あわれや白旗高く立て』


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