如何に狂風

作詞：佐 戦児 作曲：田中 穂積 著作権：無信託（詞）、消滅（曲）

一、 如何に狂風吹きまくも 如何に怒濤は逆まくも たとえ敵艦多くとも 何恐れんや義勇の士 大和魂充ち満つる 我等の眼中難事なし 二、 維新以降（このかた）訓練の 技倆（ぎりょう）試さん時ぞ来ぬ 我が帝国の艦隊は 栄辱（えいじょく）生死の波分けて 渤海（ぼっかい）湾内乗り入りて 撃ち滅ぼさん敵の艦（ふね） 三、 空飛び翔ける砲丸に 水より躍る水雷に 敵の艦隊見る中（うち）に 皆々砕かれ粉微塵 艫（とも）より舳（へ）より沈みつつ 広き海原影もなし 四、 早くも空は雲晴れて 四方（よも）の眺望（ながめ）も浪ばかり 余りに脆（もろ）き敵の艦（ふね） 此の戦（たたかい）はもの足らず 大和魂充ち満つる 我等の眼中難事なし

明治二十八年 「大捷軍歌」月の巻

……「大捷軍歌」月の巻は読売新聞で募集した詩を掲載したもので、ほとんどが軍人の作。他に「雪の巻」「花の巻」があった。