[戻る]


思考錯誤

メモ帳代わりの日記。


2003/12/6
 開戦記念日を明後日に控え、日課のサイト巡回を行う。週末なので通常チェック頻度の低いサイトも回る。
 「。。。イブクーロの競争試作ってどうなったんだけっか?」とお気に入りから『架空機の館』を開く。

 なんと、次の競争試作が始まっている。

 ちなみに、私は自慢ではないが航空機のことは全く分からない。あんすく等でキ番号やハ番号が飛び交いだすともうお手上げである。陸上兵器もてんでダメだ。艦船でも先日アイオワ級が3隻分しか名前が出てこなくて愕然とした。

 そんなこんなで競争試作の要求仕様を見る度、「今度はどんなものが出てくるんだろう」と完全に他人事であったのだが。

 3秒で艦船部門への参加が決定する。

 まずは情報を収集することにしよう。ポケット戦艦って建造いつだっけ?


12/7
 どうやらポケット戦艦は3隻いるらしい。ネームシップのドイッチュラントが28年計画だから、今回の競作の世界と時期が合致する。次のシャルンホルストは'34計画であるらしい。

 検索の際「シャルンホルスト」が出てこなくて往生こいたのは内緒だ。

 乏しい知識を総合するに、ポケット戦艦に載っていた28cm砲とディーゼルは使えるが、シャルの長28cm砲とヴァグナー缶は無理ってことか。客船の方のシャルも'35竣工だもんなぁ。


12/8
 開戦記念日。

 要求仕様を検討する。用途は領海警備、練習艦任務。制限は主砲の口径増大、門数増加不可。速力22kt以下。出費は抑える。
 練習艦任務は艦内容積に余裕のある戦艦なら大抵務まるだろうからひとまず置いておく。領海警備として、仮想敵国はどこか。手の届きそうな範囲だと、イギリスはやり合う相手として問題外、南のフランスと西のソビエトくらいか。その他大勢は別の意味で問題外だろうし、気になるのは北欧諸国の海防戦艦くらいだが、こいつらと正面切って張り合うこともないだろう。

 フランス海軍の主力はクルーべ級2隻とブルターニュ級3隻。それぞれ22,000tで30センチ12門と34センチ10門。コレスポンドのクルーベはともかく、ブルターニュとの砲撃戦はちょっと不利。

 ソビエトはガングート級3隻、24,000tで30センチ12門。装甲に弱点はあるけど、中心線上配置だからまともに撃ち合うと砲撃力的には不利。

 どちらも2流海軍、と言いたいとこだけど、こっちは見事に3流だしなぁ(笑 いずれも分散配置されてるから数で押せばなんとかなるかもしれない。現時点で他にドイツに侵攻能力を持つ国はなさそうだ。

 。。。どっちも速力は21〜23ktだから、26ktくらい出せると有利に動けるんじゃないかと思う。

 。。。この頃('28)のドイツの海軍戦力って、軽巡エムデンとケルン級3隻、あとは水雷艇若干しかないのね。ああ、ナッソー級4隻はいることになってるのか。史実では旧式戦艦6隻、軽巡洋艦6隻、駆逐艦12隻の保有制限、空母と潜水艦はダメっと。


12/9
 1928年、昭和3年。時期的には、ワシントン条約の6年後でネイバル・ホリデイ真っ只中。ロンドン条約を2年後に控えて、列強は条約型重巡の建艦競争に励んでいる。となると、フランスにも条約型重巡が登場し始める時期だなぁ。フランスに関してはワシントン条約で'27に戦艦の代艦建造が認められてる。後のダンケルクか。

 ヒトラーが政権を握るのは5年後で、再軍備宣言はその2年後。開戦はそれから4年後の'39年。

 。。。大恐慌は'29年っと。


12/10
 ないない尽くしである。なんで戦争始める気になったのかさっぱり分からん。まあ、まともに考えてたら戦争始められる訳ないんだけど。

 次のステップに移るために、この辺である程度仕様を煮詰めておこう。
 まず、大前提としてカネである。この世の中何かするにはすべからく金がかかる。軍艦において何が金を食うかというと、砲・機関・装甲である。限られた資金の中で如何にしてこれらを改良し、最大の威力を持つ軍艦を造らなければならない。

<目標>
 仮想敵国は第一:仏、第二:蘇、第三:その他とし、これらの海軍に対抗できる戦力を整備すること。以下、ヘルゴラント級にその能力を付与する改装案を検討する。

・砲
 砲の口径増大が不可という制限があるため、選択肢としては、(1)換装せず、(2)より小口径に換装、(3)長砲身化、(4)何らかの手段で制限を逃れて大口径に換装といったところか。(2)においてはより長砲身のものになるだろう。しかし、(2)(3)(4)では砲を新規に開発し、6砲塔12門×4隻分を製造しなければならない。(3)(4)では門数を減少できる可能性があるが、特に(4)では船体の大工事が必要になると考えられ、これは資金面においてかなりの負担となるだろう。(3)は命数や命中率の問題があり、やはり砲塔ごと新造することになるだろう。

 仮想敵国にはド級、超ド級の戦艦が在籍しており、前大戦から小口径砲は大口径砲に劣ることは明らかで、ドイツ最大最強の戦艦を長砲身とは言え28cm砲に換装する意義、しかも大金を投じてまでのそれはまったく認められない。また、船体の大改造を伴わずにより大口径に換装できるほど船体に余裕がない。現時点では換装せず、若干の可能性を持って長砲身化か。

・装甲
 30cm対応防御であるが、世はビックセブンが君臨するネイバルホリディ、コレスポンドは軒並みスクラップか海の底である。絶望的だがド級クラスで同レベルの砲撃戦を展開することを考えれば、水平装甲が弱体なこと以外はなんとかなるかもしれない。もっとも、装甲板の強化は制限事項だし、やればやったで装甲板の新規製造を含む大工事となるだろう。ブルターニュ級に対抗できないのが痛いところ。

 若干の希望としては、とりあえずしばらくの間は新たな戦艦が建造されないであろうということである。とりあえず、装甲厚は現状維持のまま、内部構造の工夫やバルジ増設などで強化する方向で。

・機関
 さて、機関である。3連成4気筒蒸気往復動機関である。男のロマンであるが、いかにも古い。

 計画では22,808t、28,000ihpで20.3ktを発揮することになっており、公試では24,700t、35,000ihpくらいで21kt程度を発揮している。WW1時の独軍艦はかなりの負荷(満載排水量とか)で公試を行っていたらしいので、瞬間最大風速と理解すべきだろう。建造より17年を経て、最高速力はおそらく18kt程度に低下していたのではあるまいか。
 三乗則を用いてめっさえーかげんに計算すると、22ktを発揮するにはざっと36,000ihp程度が必要になる。制限一杯にしておきたいし、これを無視するか否かに関わらず、機関は換装する必要があるだろう。

・船体
 WW1時の独主力艦の特徴として艦首水線下のカットアップが大きく、ここを含めて水中魚雷発射管を4基装備している。これは被害を受けた時イタズラをするので撤去したい。主砲の亀甲配置もあって長さ/幅比が大きいため、船首下半分をまるまる造り変えるついでに抵抗減少を狙って延長を図ってもいいだろう。幸いこれは制限事項に含まれない。
 練習艦を兼ねることもあって艦内容積に持たせたいが、主砲6基を同一平面上に配置しているため上部構造物の新設・拡大は不可能に近い。あるいは機関の換装で余裕ができるかもしれないが、艦尾も延長する可能性がある。船首の主砲を甲板1層分嵩上げすることは可能だろうか。


12/11
 ヘルゴラント級はドイツ最大最強の戦艦である。よって、仮想敵国の装備する戦艦に勝てるだけの力を持たせる必要がある。しかし、現時点でそれは望めない。ならば、戦う相手を選べる手段を持たせるのが適当ではないだろうか。
 重巡以下の艦を蹴散らす力はある、しかし戦艦には勝てない。だから逃げる必要がある。これには速力が必要だ。

 まとめて攻め込んでこられたらどうするかって? そんなの知らない。だって勝てないんだもん。

 まあ、攻と防で頭を抑えられているんだから、走に逃げるのが一番簡単だわな。他の2つより簡単そうだし。これってさ、結局やっぱりとどのつまりはポケ戦なんじゃない?


12/12
 アメリカの南北戦争でもそうだったけど、通商破壊だけじゃ戦争に勝てないんだよね。制海権取らないと。


12/13,14
 忘年会参加のため一時帰省。


12/15
 ってゆーか正面切って戦っても負けるから通商破壊に走るわけで、その時点ですでに負けてるし。

 でもまあ、30cm砲を持った奴が自国の近海をうろついてるってのはかなり嫌だよね。大部隊出して捜索するか、来そうなところ全部に前もって対抗できる戦力を置くしかないわけで。これはWW1のエムデンとかドイツ東洋艦隊とか、それこそWW2のポケ戦がいい例。

 そういや、カイザー級以降の戦艦11隻、フォン・デア・タン以降の巡戦5隻はどこに接収されたのかなぁ。


12/16
 残ってたとしても多分、ワシントン条約でほとんど破棄の運命だよね>接収艦 フランスがバイエルン級取ってれば、こいつくらいは現役だろうけど。

 。。。だとすると、代艦が認められずにダンケルク級の出現はないかもしれんな。


12/17〜19
 ネットで詳細な要目を収集。

 だって参考になる資料1冊も持ってないんだもん。


12/20
 仏戦艦は21kt、英も同じ、但しQE級は23kt、タイガーとリナウン級及びフッドは28〜31kt程度。米も21kt。日本は扶桑級と伊勢級が22kt、長門級と金剛級が26kt程度といったところか。


12/21
 ポケ戦は結局戦艦じゃなくて、装甲巡洋艦なんだろうな。戦力として中途半端な位置付けだったこともあって、こういう艦種はWW1で絶滅したけれど、戦力層の薄い中小海軍国にこの種の艦がよく売れてたりするのは、それなりに武装を搭載し、それなりに足が速くて、それなりに見栄えが良くて威容もある、それなりに使い勝手の良い軍艦だったわけだから。

 だから戦艦が登場してある程度戦力が整備されると、重巡に類別変更されたってことで>ポケ戦 対抗勢力を持てない弱小海軍国は、戦力ピラミッドの隙間を突いていくしかないわけだしね。

 設定当時のドイツなら、戦艦には勝てないけど重巡には蹴散らせるという仮想敵から見ればとても嫌な艦になるわけか。逆に、自国に重巡に勝てる戦力が他に存在しないことからも、これを蹴散らせる戦力にしないといけないわけだし。武装に30cm砲があるから、ポケ戦の要目決定ほど悩まなくてもいいけど。

 これまで戦艦のつもりで考えてたけど、ちょっと方向修正。


12/22

てきとー

 赤い部分が機関室、青い部分が缶室、緑は魚雷防御隔壁。機関室は右舷から第1〜3まで、それぞれ3連成4気筒レシプロ1基。缶室は艦尾から第1〜3まで、1と2は1区画に2缶ずつ、3には1缶。煙突は後ろから第1〜3、3・6・6缶ずつの煙路を導設。

 。。。間違ってへんやろな(w


12/23
 缶は16気圧、機関部重量は1,800t弱ですな。対して装甲重量は5,100t、兵装重量は3,500t弱っと。


12/24
 今日も粛々と。

えーかげん

 中央部付近の断面図(のつもり)。

 だってネットで見つからなかったんだもん。

 赤が舷側装甲帯、緑が水平装甲、青が縦通魚雷防御隔壁、水色の空間は炭庫。

 舷側装甲帯は上部が170mm、下部が300mm。水平装甲は第1下甲板が25mm、第2下甲板が30mm。魚雷防御隔壁は45mm。

 ってゆーか副砲弾庫はどこだ。。。多分第1〜第2缶室の間だな。


12/25
 砲塔1基当たりの重量は540t。仰角は13.5°で16,200m、後に16°で20,000mを確保。

たぶん

 にしても砲室狭っ<30.5cm2連装砲塔


12/26
 さて、要求速力はとりあえず26ktとしておこうか。
 建造時の計画出力は28,000ihpで機関重量当たりの出力は15.5。3乗則でいくと、所用馬力はざっと56,000ihp。'28当時でも機関重量あたりの出力を倍増ってのはなんとか達成できるんじゃないかな?

 軸馬力(SHP)は指示馬力(IHP)の90%ってことで。

 但し、速力の上限は規定で22ktだ。この速力に対する機関の所要出力は36,000ihp。いくらなんでもこれはごまかせないだろう。戦時に缶やタービンを増載するってのは、ちょっと時間がかかりすぎやせんかね?


12/27
 沈黙思考。


12/28
 これでどーよ。

どやっ

 ターボ・エレクトリックで40,000ihp相当、22kt。戦時にディーゼル・エレクトリック4基増載で+20,000ihp相当、26kt。
 砲塔2基降ろして梯形配置、浮いた重量で補強と称して缶室・機関室上面に30mm程度のHT鋼張り足し、水中防御の充実化。浮いたスペースは居住区と燃料タンク。

 あれ、有効馬力の換算方法が分からん。


12/29
 上構削ってみたけど、反対舷射撃は不可能に等しいな(笑

あははーっ

 重量計算っ!

 減少分は主砲塔2基撤去で540t*2=1,080t、バーベットその他補機類の重量は補強分としてチャラ。機関重量1,800tもとりあえずマイナス。

 増加分は機関分と装甲強化分。船首尾延長分はさして浮力に寄与しないと思われるんのでチャラ。上構の刷新も忘れてはいかんな。。。軽合金と溶接の多用で軽量化を図ろう。

 ポケ戦のディーゼル機関の重量は1基260tくらいか。。。重いな。バルジ? そんなゲルマン民族的に美しくないものは不許可だ(笑

 あ、航空装備はどうすべぇ。。。艦尾にカタパルト? 主砲射撃で跡形もなくなりそうだな。いーや、どうせろくな飛行機持ってないんだし。

 WW1時のドイツ艦はろくな居住設備がないらしいから、こいつのスペースもちょっと考えてやらねばなるまい。

 陸上宿舎とか宿泊艦とかだもんな。


12/30
 上面図を眺めていたところ、やけにC,E砲塔あたりの全幅が太いことに気付いた。6砲塔を亀甲配置にしてる分、この部分が太くならざるを得なかったんだろう。艦尾も延長してやれば抵抗減少に寄与するに違いない。

 。。。ホンマに工期2年で終わるか?(笑 

 さて、お絵描きっと。


12/31〜1/2
 帰省。


1/3
 新年明けましておめでとうございます。そして粛々とお絵描き。


1/4〜5
 旅行に出かけて1回休み。


1/6
 改装案の側面図はほぼ完成。さて、大詰めだな。

 前檣楼の測距儀は海面上25m。これで3.83√25=19kmの水平線上視界が確保できる。煙突は威容を保つ為にも太めだ。

 幅は細いけど。

 もちろん艦首は垂直だ。ドイツなら当然である。


1/7
 内部構造はこんな感じで。

えーかげんの2乗

 水平装甲代わりに30mm張り足し、元の炭庫に区画作って燃料庫。まあ、何にせよ缶室区画はほぼ新造だけど。


1/8
 燃料は重油に積み替えるとして、何tくらい必要かね?

 む、砲塔2基減に加えて機関部員が大幅に減るから、居住区の増加ってあまり考えなくていい?


1/9
 副砲は全部残して、水雷艇撃退砲と水中魚雷発射管は全部取っ払う。

 魚雷発射管は「寄らば撃つぞ」として残したいけど、50cmじゃなぁ。。。

 副砲は仰角上げて射程を延ばし、群がる駆逐艦を蹴散らす。隙あらば主砲の漏らした巡洋艦だって狙う。随伴艦艇がいないんだから、遊ばせておく砲はない。

 んで、戦艦だったら逃げる。

 けど、主砲の最大射程20,000mちょいだと厳しいなぁ。。。どうしようもないか。30.5cmのパンチ力に期待しよう。


1/10
 最終日。

 最後の重量計算。
 減少分として、主砲塔2基1,080t、旧機関1,800t。
 増加分として、水平装甲30mm分として400t、ターボ・エレクトリックで1,400t、戦時改装のディーゼル・エレクトリックで800t。上部構造物その他に200t。
 主砲のバーベットと補機類、船首尾分は補強と船内改装分でチャラとする。

 燃料搭載量は、従来の数字をそのまま持ってきて3,000tとすると。。。スペースは二重底や旧機関室を燃料庫に充てるとして、巡航速力はタービン1基を出力75%で回したとすると、13,500ihp相当で16ktくらいか。このときの燃費は。。。参考になるもんがないぞ(笑 まあ、めっさてきとーに6,000nmくらいか。
 ディーゼルを搭載するともう少し変わるぞ。こっちはディーゼル4基を75%で動かして15,000ihp相当、多分10,000nmくらい。。。だけど、燃料全部ディーゼル油ってわけじゃないしな。

 ま、これでよしとするか。



[戻る]