一、
来(きた)れ我友(わがとも)血に燃ゆる
胸の響(ひびき)に言伝(ことづ)てん
緑に映ゆる襟の色
ああ憧(あこが)れのグルメット
二、
曠野(こうや)に躍る我が夢は
蹄(ひづめ)の音に勇むかな
銀翼空を駆けるとも
我に千里の駿馬(しゅんめ)あり
三、
欧亜の天地蹂躙の
史上の華を今にして
見よ漠々の原頭(げんとう)に
馬躍らせん秋(とき)来(きた)る
四、
妖雲西に向伏(むかふ)して
赤騎(せっき)嘶(いなな)く北海の
ウラル颪(おろし)の声近く
吹くや扶揺(ふよう)の征露曲(せいろきょく)
五、
興安嶺(こうあんれい)の日の御旗
長駆進めんモスコー府
コザックいかに驕(おご)るとも
我が鎧袖(がいしゅう)の一触ぞ
六、
砂漠に落つる赤き陽(ひ)の
果に極めん数百里
挺身(ていしん)死地に乗入れて
敵脅かす人は誰(た)ぞ
七、
雲霞(うんか)の如き敵軍も
雨も霰(あられ)も砲弾も
何か恐れん襲撃の
我が蹂躙の意気を知れ
八、
鉄蹄(てつてい)高く地を蹴(けっ)て
かざす秋水(しゅうすい)刺す処(ところ)
靡(なび)く草木も斬(きり)伏せて
雄叫び天に響く見よ
九、
栄(はえ)あれ騎兵永(とこし)えに
進む科学に先駆けて
昔の人の夢にせし
天馬八千兵足りん
十、
熱血凝(こ)りて集いたる
我等馬上の剣侠児(けんきょうじ)
護国の誓挺身の
門出の曲に歌うかな
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