一、
勇ましく出航用意の
ラッパが響きゃ
何の未練も残りゃせぬ
水漬く屍(かばね)とこの身を捨てて
今ぞ乗り出す太平洋
二、
住みなれし母港よさらばと
見返る空に
浮かぶ三浦の山や丘
椿咲くかよあの大島を
越せば黒潮うずを巻く
三、
皇国(すめらみくに)の海の護りを
身に引き受けて
水も洩らさぬこの備え
指の一つもささせちゃならぬ
練ったこの腕この体
四、
誰か知る昼はひねもす
怒濤(どとう)をおかし
文目わかたぬ夜もすがら
御稜威(みいつ)畏(かしこ)み生命線を
しかと護らんこの海を
五、
緑なす山の影さえ
見ぬ幾月を
今日は母港へ軍港へ
招く旗山錨を下ろしゃ
見えて懐かしあの波止場
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