二等巡洋艦利根(初代)
起工:明治38年(1905)11月27日
要目
概要
常備排水量4,000t程度の軍艦の完成に四年半の年月を費やしたのは、佐世保工廠が大型艦建造に適した諸設備が不充分で作業者の技術能力が低かったためと言われている。しかし、本艦建造の経験が次の二等巡洋艦筑摩の建造に受け継がれ、その後軽巡の一番艦建造は佐世保工廠が主務造船所となった。 利根の設計で特筆すべきことは、同じ計画で建造された装甲巡洋艦筑波に続いてラム(衝角)形状艦首を廃止したことである。それまでは海戦時ラムで敵艦に衝突し、相手艦の水線下に破口を開け浸水により沈没させるという肉薄攻撃が艦隊決戦の一戦法として考えられていたが、当時すでに大砲の射程距離が大となり、敵艦に接近して衝撃することは戦術的に不可能となっていた。そこで日本海軍は新艦計画の機会に世界の海軍に先駆けて、構造が複雑な鋳鉄製のラム艦首を廃止した軍艦の計画に取り組んだのである。 利根の艦首は凌波性を良くするため水線上艦首先端を延長し、外観上はヨットの船首を思い出させるような艦首形状となった。このため軍艦として取り付けられる艦首の菊の紋章は、通例の先端に1個では外見上下向きとなり威厳を損ねるとされ、両舷に1個ずつ付けられた。艦尾形状も艦首方向にナックル(二投曲線)させたので斬新な艦型となり、スマートな艦として各国海軍の注目を集めた。 搭載缶は従来艦の石炭専用から、石炭と重油併用の宮原式混焼缶が搭載された。しかし、主機関は蒸気タービンが搭載されず、二等巡洋艦としてレシプロ機関を搭載した最後の艦となった。
主な行動
◆大正3年8月23日
◆大正4〜5年
◆大正6年2月7日
◆大正13年〜
◆昭和6年4月1日
◆昭和8年4月30日
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