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歴史の狭間に −貝殻島灯台−

貝殻島灯台
納沙布岬灯台付近より200mm望遠レンズで撮影。水平線に見える島々は歯舞諸島

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 北海道の最東端に位置する納沙布岬から東を望むと、幅数キロの珸瑤瑁(ごようまい)水道を隔てて歯舞諸島を望むことが出来る。この水道のほぼ中央に、満潮時にはほとんど海面下に没してしまう貝殻島という小さな島がある。
 航路の安全を確保するため、昭和12年にこの島に灯台が建設され、以後水道を通る船を座礁の危険から守ってきた。

 敗戦後、ソビエト軍がこれらの島々を占領すると、水道中央からやや東よりにあった貝殻島は、ソ連の主張する国境のソ連側に位置することとなった。

 以後、管理するものがいなくなった灯台は、波と流氷で基礎が流され、やや斜めに傾いた状態になっている。今、一つの建造物が、海峡と、国境と、そして歴史の狭間で朽ち果てていこうとしている。

貝殻島灯台
 昭和12年4月初点灯 五等閃白光
 黒色円形コンクリート造
 400燭光 霧鐘併設

(以上)

公開:02/03/28

参考文献
 「日本燈台史」 海上保安庁灯台部 1969


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